承認欲求に揺れる心

承認欲求の心理メカニズムと、自己価値の見出し方について考える。

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  • #自己価値
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  • #内的動機

「また『いいね』の数を数えてる」

レオが呆れたように言った。海斗は、スマートフォンを何度もチェックしていた。

海斗が反発した。「別にいいだろ」

空が静かに観察していた。「気になるんですか?」

「気になるよ」海斗が認めた。「投稿して、反応がないと不安になる」

日和が聞いた。「何が不安?」

海斗が考えた。「自分が...価値がないんじゃないかって」

レオが指摘した。「『いいね』の数で、価値が決まるの?」

「決まらないのは分かってる」海斗が苛立った。「でも、気になるんだ」

空が言った。「承認欲求ですね」

「承認欲求?」海斗が聞く。

「他者から認められたい、という欲求」日和が説明した。「人間の基本的な欲求の一つです」

海斗が少し安心した。「じゃあ、おかしくないのか」

「おかしくはありません」日和が言った。「でも、程度が問題です」

空が補足した。「承認欲求が強すぎると、自分の行動が他者の評価に支配される」

海斗が黙り込んだ。

レオが聞いた。「マズローの欲求階層説、知ってる?」

「聞いたことある」海斗が答えた。

日和がホワイトボードに図を描いた。ピラミッド型。

「下から、生理的欲求、安全欲求、所属と愛の欲求、承認欲求、自己実現欲求」

「承認欲求は、上から二番目」空が指摘した。「重要だけど、それだけでは不十分」

海斗が聞いた。「どういうこと?」

「承認欲求が満たされても、最終的には自己実現が必要」日和が説明した。「自分自身の価値基準で生きること」

レオが付け加えた。「外的動機と内的動機の違いだ」

「外的動機?」

「他者の評価のために行動すること」空が説明した。「内的動機は、自分の興味や価値観のために行動すること」

海斗が理解した。「俺、外的動機ばかりだ」

「気づくことが第一歩」日和が励ました。

レオが質問した。「海斗、本当にやりたいことは何?『いいね』がなくても」

海斗が考え込んだ。「分からない。ずっと、人にどう見られるかばかり考えてた」

空が優しく言った。「今から探せばいいんです」

日和が提案した。「試しに、誰にも見せない作品を作ってみませんか?」

「誰にも見せない?」海斗が驚いた。

「そう。完全に自分のために」日和が言った。「反応がない状態で、何を感じるか観察する」

海斗が不安そうに言った。「でも、それって意味あるの?」

「大いにある」レオが断言した。「自分の内なる声を聞く練習だ」

空が付け加えた。「承認欲求自体は悪くありません。でも、それだけに依存すると、脆くなる」

「脆く?」

「他者の評価が変われば、自己価値も揺らぐ」日和が説明した。「でも、内的な価値基準があれば、安定します」

海斗が聞いた。「どうやって内的な基準を作るの?」

空が答えた。「自分に問いかけることです。これは本当にやりたいことか?楽しいか?意味があるか?」

レオが実践的なアドバイスをした。「SNSから一週間離れてみるのは?」

海斗が焦った。「一週間も?」

「実験だよ」レオが笑った。「どんな変化があるか観察する」

日和が優しく言った。「承認欲求に気づき、それと距離を取ることで、自分が見えてきます」

海斗が迷った。でも、ゆっくりと頷いた。

「やってみる」

空が励ました。「私たちも一緒にやりましょうか」

「え?」

「SNS断ち。一週間」空が提案した。

レオが同意した。「面白い。僕もやる」

日和が微笑んだ。「では、四人で実験ですね」

海斗が少し嬉しそうに言った。「みんなと一緒なら、できるかも」

一週間後。

海斗が報告した。「最初は不安だったけど、だんだん楽になった」

空が聞いた。「何か発見は?」

「『いいね』がなくても、俺は存在してる」海斗が笑った。「当たり前なんだけど、忘れてた」

レオが言った。「承認欲求は消えない。でも、それに支配されなくなる」

日和が付け加えた。「自己価値は、他者ではなく、自分が決める。それを思い出すことが大切です」

海斗がスマートフォンを見た。でも、すぐにしまった。

「たまにチェックするのはいい。でも、それが全てじゃない」

空が微笑んだ。「バランスですね」

承認欲求に揺れる心。それは人間らしさでもある。でも、それだけに縛られない強さ。それを、四人は学び始めた。